100年後の時計師との対話|Yosuke、本場スイスで貫く時計職人の矜持

 100年後の時計師との対話|Yosuke、本場スイスで貫く時計職人の矜持

 
年間生産20本。図面なし。すべて手作業。スイスのル・ロックルで独立時計師として活躍する関口陽介さん(45歳)の時計作りは、現代の常識を覆す。2500個を超えるアンティーク時計の修復経験を頼りに、頭の中にある、あらゆる設計図から必要な部品形状を割り出す。効率性を追求する時代に、敢えて非効率であることを選んだ職人が問いかけるアナログ的思考の “凄み”を届けたい。
 
スイスの山間にこだまする、日本人の職人気質
スイス・ジュラ山脈の麓、ル・ロックル。時計製造の聖地で、一人の日本人が並々ならぬ情熱を注いでいる。関口陽介、45歳。年間生産20本とはいえ、その20本を手塩にかけ、驚くほど丁寧に作る独立時計師である。
インタビュー冒頭、関口さんが指摘するのは、およそ100年前に製造されたアンティーク時計の脱進機だ。
「ここに、当時の時計師の存在を感じるんです。どの工具を使って、どういう順序で仕上げたか。彼がどんな気持ちでこの部品に向き合ったか。まるで会話をしているような感覚になります」
時空を超えて職人同士が交わす、無言の対話。それが関口さんの時計作りの原点にある。
時計製造の世界で独自の道を歩む関口さんの存在は、スイスでも異彩を放つ。なぜなら、彼が作る時計には「図面」が存在しないからだ。